2017年5月 出産 1
予定日まで1週間。
順調過ぎるほどに発育するお腹の子(約3300g)を予定日より少しでも早く産むために、毎日ウォーキングをするマル子。
大体1日10kmほど歩くらしい。
あーパパはその日休みだったが、用事を済ませに外出しているとマル子からの着信。
来たか!?
予想は当たり、どうやら始まったとのこと。
すぐさま家に戻り、準備してあった入院セットを持ち、マル子を車で病院に連れて行く。
陣痛が辛い様で隣で苦しむマル子。
「うー、あー」
初めてのことに不安だけが募る。
何とか診察室まで無事届け診察を受けると、
「少し様子を見ましょう」
と、出産までまだ時間がかかる模様。
出産病棟の部屋へ移動し、新たに陣痛の検査。
何か色々なコードを付けられ陣痛の間隔と強さを計測するらしい。
少し計測した後、隣の部屋へ移動。
出産出来る部屋なのだろう。
広く、ベッドの脇に家族が居れるスペースとソファーがある。
看護師さんと共に、マル子の陣痛のケアをする。一定の間隔で訪れる陣痛に合わせて背中をさすってあげる。
ほどなくすると看護師さんが去り、2人きりになる。
え!?
大丈夫なの?
そんな心配をよそに、陣痛が訪れるためほぼ休みがない。
看護師さん居なくなったけど、大丈夫だから居なくなったんだろう。と、楽観的に考えマル子のケアを続けていたが、どうやらちょっと普通では無い模様…
マル子の陣痛の痛がり方がハンパない。
先ほどまでは、
「うー、あー」
だったのが、
今は、
「ゔー!!!あーーー!!!ゔーーー!!」
背中をさする以外に出来ることはないかと、
うちわでマル子をあおいだのだが、どんどんヒートアップするマル子にこちらも力が入り、マル子の顔面に強風を送り込み、
「やめて…」と。
遂にマル子の声は叫びに変わり、
更には
「裂けるーー!!死ぬーーー!」
と絶叫している。
あーパパの心配がMAXになった頃、ようやく看護師さんが戻って来て、
「もう大丈夫です、代わります」
と、あーパパと交代してくれた。
出産の準備に入ります。との事で一安心。
朝から何も食べていなかったあーパパは、部屋から出てお昼を食べ始める。
ふた口くらい食べた頃、先ほどの看護師さんがダッシュであーパパの元に来た。
何!?
「今から緊急帝王切開の手術に入りますので来てください!」
考える間も与えられずに連れて行かれる…
何?マジでどうしたの?
不安が最高潮。
先ほどの部屋にマル子はもうおらず、そこで手術同伴の説明を受けるあーパパ。
帽子、マスク、服を渡され身につけて手術室に通されると手術台に横たわっているマル子がいる。
どうやら麻酔を受けたらしく、痛さはもう無いらしい。
手術になる時に、着ていた服を切って良いかと聞かれ、「勝手にしてーー!」と叫んで服を切られた話しをするマル子。
そして、どうやら「かきょうじんつう」というもので、胎児が危険な状態になったから手術になったと説明された。
横たわるマル子の顔の脇に座り、マル子の手を取り見守った。
マル子の下半身はつい立てで視界を遮られており、見えない様になっているが、先生や看護師さん達の動きや声から出産が近づくのを感じる。
すると緊張と痛みから少し解放されたマル子が、
「産んだら体重どれくらい減るかな〜?」
「あたし今、すっぽんぽんなんだけど着替えあったっけ?」
と、極めて緊張感に欠ける話しを始める。
「得意技は、調子に乗ること」
と自負するマル子らしい発言。
すると看護師さんに全力で怒られた。
「マル子さん、今は赤ちゃんに集中して!!」
おっしゃる通り…
次はいよいよ出産です。